2021.2.24
神奈川・横浜・湘南エリアの映像制作会社FVコンサルティングです。
新型コロナ感染症の影響が長期間にわたっているため、多くの企業が今までの営業形態を変えていかざるを得ない状況になってきています。今まで対面販売していた小売業はネット販売やサブスクリプション形態の事業へと転換を図り、特定の会場に集まって開催していた講義やセミナーはオンライン配信の形態に変わってきています。
人との接触が思うようにできない現在、それに代わる手段としてインターネットや映像を使った新たな取り組みが考えられているのです。しかし、インターネットや映像を活用した営業形態に変えるためには資金が必要です。
そこで今回は、経済産業省の中小企業等事業再構築促進事業に関する補助金に関する公募要領を整理し、ご説明します。
この補助金制度は事前着手承認制度なので、補助を受ける事業に着手できるのは原則として交付決定後になりますので、注意が必要です。
ただし、公募開始後に事前着手申請を出して承認された場合は、補助事業に着手するための設備の購入契約等も補助対象になり得ます。この場合、設備の購入等では入札・相見積が必要になりますので、これも注意してください。
また当然ですが、補助金申請後に不採択となってしまうリスクもありますので、事前着手をする場合はそのリスク対策を織り込んでおく必要があるでしょう。
では、補助金制度の補助額と補助率です。
<中小企業>
・通常枠:補助額=100万円〜6,000万円 補助率=2/3
・卒業枠:補助額=6,000万円超〜1億円 補助率=2/3
※卒業枠とは、資本金または従業員を増やして中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠で、400社に限定されます。
<中堅企業>
・通常枠:補助額=100万円〜8,000万円 補助率=1/2(4,000万円超は1/3)
・グローバルV字回復枠:補助額=8,000万円超〜1億円 補助率=1/2
※グローバルV字回復枠とは、特定の要件を全て満たしている中堅企業向けの特別枠で、100社に限定されます。
補助の対象となる企業の範囲は、下記の通りです。
<中小企業の範囲>
製造業その他:資本金3億円以下の会社 or 従業員数300人以下の会社及び個人
卸売業 :資本金1億円以下の会社 or 従業員数100人以下の会社及び個人
小売業 :資本金5千万円以下の会社 or 従業員数50人以下の会社及び個人
サービス業 :資本金5千万円以下の会社 or 従業員数100人以下の会社及び個人
※1大企業の子会社等のいわゆる「みなし大企業」は対象から除外されます
※2確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、中堅企業としての支援対象となります
※3企業組合、協業組合、事業協同組合を含む「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や収益事業を行う等の要件を満たすNPO法人も支援の対象です
<中堅企業の範囲>
中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社(見込み)
※中小企業の範囲についてはまだ調整中です
また、主要申請要件として下記が定められています。
<主要申請要件>
1.売上が減っている
申請前の直近6ヶ月のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少している場合に申請できます。
2.事業再構築に取り組む
事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行うことが必須です。
3.認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
補助金の審査はこの事業計画をもとに行われますので、採択されるために合理的で説得力のある事業計画を策定することが必須です。
補助の対象となる経費の例を下記にまとめます。
・主要経費:建物費(建築や改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費
・関連経費:外注費、技術導入費、研修費、広告宣伝・販売促進費、リース費、クラウドサービス費、専門家経費
ただし、下記は補助対象外となります。
従業員の人件費・旅費、不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、家具等)の購入費、販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費
上記を踏まえて、この補助金を適用できる具体例をいくつか挙げてみます。
<業態転換>
1.飲食業
経営していた飲食店が新型コロナ感染症の影響で売上減少。
店舗での営業を廃止して、オンライン専用の弁当宅配事業に転換したい。
店舗縮小に係る建物の改修費用及び新業態に係る機器の導入費用、広告宣伝費用に関する経費の補助を申請。
2.サービス業
自宅の1室でピアノ教室を運営していたが新型コロナ感染症の影響で生徒数が減少。
対面方式での授業からオンライン方式による授業に変更したい。
オンライン授業用のスタジオへの改修費、システム構築費や広告宣言費の補助を申請。
<新分野展開>
1.小売業
スーツなどの紳士服の販売業を営んでいたが新型コロナ感染症の影響で売上減少。
廃業し、新たに輸入雑貨のネット販売事業を開始したい。
倉庫確保に関わる建物の改修費用、新規オンラインサービスシステムの構築費用などの補助を申請。
2.製造業
航空機部品製造業を営んでいたが新型コロナ感染症の影響で売上減少。
航空機部品の製造ノウハウを応用してロボット関連部品の製造事業を新規に立ち上げたい。
従来事業圧縮にかかる設備撤去費用、新規設備導入費用、新規事業に従事する従業員への研修費用などの補助を申請。
公募の開始は、本年3月となる見込みです。申請は全て電子申請となります。そのため、現時点で準備が可能なのは、電子申請の準備や事業計画の策定準備、認定経営革新等支援機関との相談になります。
次回のブログでは、この中の「電子申請」に関する具体的な準備についてご説明します。
Written by Y.Nishino